2019年12月12日

M&Aの流れ企業評価1

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経営者がM&Aを検討するうえで気になるテーマの一つが、M&A実行に至るまでのプロセスです。
M&Aの簡単な流れについては、M&A仲介会社のパンフレットなどで簡単な図と用語で示されていることが多いです。
しかし、各工程の中で具体的に実施される内容について詳しく記載されていることは、ほとんどありません。
そこで、今回からのコラムではそれぞれの工程でどのようなことが行われているのか、行程単位で詳細を
掘り下げて見ていきたいと思います。
今回は、多くの案件において、最初に実施される企業評価について、ご説明致します。

1、M&Aにおける企業評価
まず、前提としてM&Aにおける企業評価は税法上の株価計算とは異なり、法的に定められた
評価方法はありません。その為、最終的には買手と売手が合意した金額で株式譲渡が実行されます。
しかしながら、納得感や公平感のある価格調整を実現するため一定の目安としての企業評価方法は存在します。
代表的な3つの評価方法として、時価純資産法、割引キャッシュフロー法(DCF法)、類似会社批准法が挙げられますが、
今回はこのうち最もよく用いられる時価純資産法について見ていきます。

2、時価純資産法 時価の算出
時価純資産法は、企業の資産価値をベースに評価する方法になります。
通常決算書の貸借対照表は決算期時点における会計上の価値が計上されています。
この金額はあくまで簿価であり、時価との間に乖離が生じていることがあります。
例えば、土地を数年前に購入していたとしましょう。
貸借対照表上の固定資産の部に土地の取得価格が簿価として計上されています。
減損会計を行わない限り、翌期もまたその翌期も貸借対照表上の土地は取得時の価格のままとなります。
しかし、土地の価格は刻一刻と変化するものなので、月日が経つにつれて簿価と時価の間に
乖離が生じてしまいます。このような時価から乖離した簿価を時価に改めて、時価純資産を算出します。
この金額が時価純資産法のベースとなる金額となります。
しかし、これだけではストック(資産価値)のみの評価となりフロー(収益力)の評価がなされません。

3、時価純資産法 営業権
そのため、収益力の高い企業においては、時価純資産に営業権を加算して、企業価値とするケースがあります。
営業権とは、のれんに当たるもので、標準経常利益の3年程度が目安となります。
標準経常利益とは、経常利益から一過性の損益を修正した実質的な経常利益です。
例えば、社員に事故があり保険金が下りたとしましょう。
この場合、保険金の受取によって雑収入が計上されることがありますが、
一過性の収入で経常利益が押し上げられていることになります。
このような場合は、経常利益から当該雑収入を差し引いて標準経常利益とします。

このようにして算出された時価純資産と営業権を足し合わせたものを企業価値とするのが
時価純資産法という算定方法になります。


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