Interview
M&A支援
事業拡大戦略におけるM&A
人材派遣業を軸に、
グループの拡大戦略を推進。
阪奈サービス株式会社が、株式会社アーバンミラーの株式を譲受してM&Aを完了したのが2022年6月。異分野の事業ですが、どちらもサービス提供の要となるのは「人」です。阪奈サービス(株)常務であり、株式譲受にともない(株)アーバンミラーの代表取締役に就任された前出 豪様にお話を伺いました。

‘ご縁’をつなぎ、
ビジネス拡大のチャンスに
阪奈サービス様がアーバンミラー様をM&Aで譲受した経緯についてお聞かせください。
前出氏:阪奈サービスの母体は人材派遣会社で、多業種と関わる機会が多く、さまざまなお話やご縁を通じて10年ほど前から意欲的にM&Aに取り組んできました。阪奈サービスは非破壊検査、アーバンミラーは棚卸代行サービス、と事業内容は違いますが、事業を遂行するには「人」が不可欠だという点で共通しています。両社ともに主たる事業に加えて、それぞれの事業に関連した人材派遣業も行っているため、シナジー効果を出せるのでは、と期待して今回のM&Aとなりました。私はグループ母体の人材派遣会社の出身ですが、現在は阪奈サービスの役員とアーバンミラーの社長を兼務しています。
アーバンミラー様との出会いは?
前出氏:従前からお付き合いのあった名南M&Aのアドバイザーからご提案をいただきました。
アドバイザー:以前M&Aのご支援をさせていただいたご縁で、グループ代表の方がM&Aを活用した事業の多角化など、新しいことへのチャレンジに積極的だということ、グループにおいて関西圏は前出様が統括されていることを存じあげていました。またM&Aニーズをお聞きするなかで、両社は相性が良いのではないか、と思ったのです。ともに人材派遣部門がありましたので、スケールメリットを出せるのではないかと。
今回の譲渡企業であるアーバンミラー様は、新規事業を始めたことにより既存の棚卸代行サービス業の事業譲渡を検討されていました。財務状況は良好で、何より現場の仕組みが出来上がっているため、人材派遣でのノウハウがある阪奈サービス様はじめグループとの相乗効果で、さらに業績が上向くことが予想されました。
前出氏:これまでもそうだったのですが、「M&Aをしたら当社のやり方で改革する」という方針ではなく、元の企業風土や文化を大切にしたい、という思いがあります。ですから、「長年現場で頑張っている人のやり方や考え方を尊重する」というM&Aの方針をわかってくれているアドバイザーからの提案には、始めから安心感がありました。
土台を整えて、
ポジティブな流れを生み出していく
M&A成約時が2022年ということで、コロナによる人材確保の困難等はありませんでしたか?
前出氏:アーバンミラーには20年、30年勤続のベテラン社員やアルバイトの方々が多いので、人材確保の点では問題ありませんでした。業務面においても、真摯に取り組む姿勢が伝わってくるので現場の心配もありません。統合によるシナジーを出すため、環境整備を進めているところです。HPを新しくして、オフィスも移転しましたし、現在はシステム改修にも取り組んでいます。環境を整えることで、社員の皆さんが仕事をしやすくなるといいなと思っています。効率化により余裕がでれば、当初思い描いていたシナジーを出していけると思います。
今後のアーバンミラーさんの展望についてお聞かせください。
前出氏:現状は関西エリアの店舗を対象に事業を展開していますが、実は関東や九州エリアでの引き合いも結構あるんです。システム改修が進めば業務を効率化でき、社員やスタッフの方々の仕事も軽減できますので、人も集まりやすくなる。そうすれば、これまで応えられなかった規模の店舗やエリアにも、阪奈サービスやグループの人材派遣会社と連携して対応が可能になり、ポジティブな流れを生み出していけると考えています。
第三者による在庫チェックというのは、透明性の担保、コンプライアンスや企業ガバナンスの面からも、棚卸代行サービスに対する社会的ニーズは今後も増していくでしょう。当社のサービスは、システムと人の力のハイブリッドで、正確かつスピーディなところが売りですし、スタッフも事前にきっちり研修をしてから本番の日を迎えますので、安心して仕事に取り組めると思います。
自社の成長戦略との
相性を見極めるポイントは
名南M&Aのアドバイザーの対応はいかがでしたか?
前出氏:わからないことを聞くと、アドバイザー自身の考えも合わせて回答をいただけるので、とても参考になりました。ネガティブな情報を含め、すべて出し合った方が建設的な話につなげられると私は思いますので、そこから議論を進められる点が良かったです。
名南M&Aのアドバイザーにお聞きします。お客様からのお問い合わせにお応えする際に、心がけていたことは?
アドバイザー:ありのままの情報に加えて、「こうしたらもっと良くなると思います」ということも含めてお伝えするよう心がけてきました。
前出氏:資料だけでは知り得ない、雰囲気や社風などの情報も丁寧に共有いただけたのがありがたかったです。アドバイザー目線の助言は本当に助かりました。こちらからの質問に対して、意図を汲んだ回答をいただけたり、レスポンスが早かったりと、テンポ良く進められたので、アドバイザーとの相性も良かったのだと思います。
アドバイザー:とはいえ、やはり「案件ありき」だと思います。いくら相性が良かったとしても、実務を担われる前出様が困るような案件はご提案できませんから(笑)。
色々なM&Aアドバイザーがいるかと思いますが、譲受企業として、信頼できるM&Aアドバイザーのポイントを教えてください。
前出氏:私は、売り手企業様とM&Aアドバイザーとの距離感や理解度を重点的にみることがポイントだと思います。例えば、トップ面談で売り手と買い手、双方の経営者をつなぐ役割を担うM&Aアドバイザーは、それぞれの性格を把握、理解してストーリーを進行していく役割ですよね。その距離感をつかめていないと、トップ面談もピントがズレたものになってしまう。うまく距離が縮まっていれば、資料に載っている数字「以外」の情報を得ることができます。相手の社長さんの人柄がわかれば、社員との関係性も伝わってきますから。
その点では、名南M&Aのアドバイザーは、双方との関係性を良好に保ちながら必要な情報共有をしてくれるので、企業体質を含め「安心して任せられる」と思いました。
M&Aで譲受けを検討中の方に向けて、アドバイスをお願いします。
前出氏:買い手側としては、明確な「目標設定」を定めることが大切です。事業拡大(市場シェア拡大、地理的進出)なのか、新規技術やノウハウの獲得なのか、もしくはサプライチェーンの強化や規模拡大によるコスト削減なのか、等の視点です。どの売り手企業様の案件も魅力的に映りますが、目的が曖昧だとM&A自体がぶれてしまうと考えます。
縁あって一緒になったアーバンミラーの社員の皆さんと共に、私はこれまで以上に良い会社にしていけるよう励んでいきたいと思っています。
前出様と名南M&Aのアドバイザーとの距離感が心地よく、プロとしての信頼関係が構築されていることが伝わってくるインタビューでした。