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M&A支援

同業種でのM&A

M&Aで新たな息吹を、
想いは‘人’がつないでいく。

「いま、とっても幸せなんです」と開口一番、笑顔が溢れる譲渡企業の株式会社E・Sの橋本恵美子様。M&Aの契約完了後、業務の引き継ぎも順調に進み安堵の表情を浮かべています。その横にはバトンを引き継いだ譲受企業である丸宗の取締役であり、E・Sの代表取締役に就任された伊藤雅夫様。同業種でこそのシナジーが生まれ、現場に活気が生まれた事例を紹介します。

紆余曲折を経てたどりついた
結論、その道のりは?

株式会社丸宗が株式会社E・Sを譲受してM&Aが完了したのが2023年3月。その道のりについて譲渡側であるE・Sの視点でお聞かせいただけますか。

橋本氏:私は2005年の創業より監査役としてE・Sに参画し、創業者の勝野(会長)、鈴木(社長)と共にこれまで歩んできました。私たちは前の職場の同僚という間柄で、E・Sは木製パレットや合板箱の製造会社として、勝野が前職の定年後に64歳で立ち上げた会社です。勝野が75歳を過ぎ体調を崩したことから、E・S創業時の資金調達からお世話になってきたメインバンクに事業承継の相談を始めました。

勝野の息子さんは医師のため事業の承継は難しく、社内でも打診をしていたところ、今度は鈴木の病気が発覚。さらに数年の時が経ってこのままでは八方塞がりの状況に。銀行の支店長に「M&Aをお願いしたい」と申し入れをして、ご紹介いただいたのが名南M&A、2022年6月のことでした。その翌月にアドバイザリー契約を結び、具体的に動きだしました。この出会いが、私たちの現在に至る道のりへの好転のきっかけとなりました。

M&A後、代表取締役に就任した伊藤社長にお伺いします。丸宗の取締役という立場から見た、今回のM&Aの経緯についてお聞かせいただけますか。

伊藤氏:私はM&A後にE・Sの社長に就任し、丸宗の取締役と兼任しています。丸宗は1954年に前身の鬼頭木材で創業し、輸出用木製・スチール箱及び梱包業をメインとする会社です。E・Sとは木製パレットでは同業種ですが面識はありませんでした。愛知県・名古屋港の臨海地区を拠点とする丸宗は、業績拡大を見込める企業とのM&Aの検討を始めて2年ほど経ったころ、銀行を介してE・Sを紹介いただきました。その翌月、2022年7月の役員会では、E・Sを譲受する方向で社内合意を得ていたことを記憶しています。

紹介を受けた翌月には役員会を通過、驚きの早さですね!

もちろん社内には慎重論もあったのですが、私は賛成でした。E・Sは木製パレットでは同業種ですが得意先が丸宗とは重複しないため、「丸宗の業績拡大」という目的を考えた時、優良得意先を抱えるE・Sの販路は魅力でした。ですから、丸宗側は譲受前提ですんなり進んでいた、というのが実際のところです。社長としてE・Sに来てから橋本さんの話を聞くと、‘E・S側は丸宗を紹介される以前から含めての紆余曲折を経て’のM&Aだったのだな、と。

名南アドバイザー(以下、アドバイザー):そうだったのですね!それを早く知っておきたかった…実は、私たちは丸宗から正式な意向表明をいただくまで、E・Sの方々とヤキモキする日々を過ごしていたんです。

橋本氏:E・S側としては、いつ断られるか…とドキドキしていました。木製パレットは単価勝負の世界ですから、付加価値としての魅力は高くないのでは、と危惧していたんです。

アドバイザー:丸宗の鬼頭社長に「次のステップはこうなります」とご案内をすると「良きに計らってくれ」という表現をされるので、それは「YesなのかNoなのか」どっちなんだろう?と。交渉の過程で、さまざまな検討事項に対して一つひとつ解決策や選択肢を提示するのがアドバイザーの仕事です。E・Sさんと条件面を調整する打ち合わせをしながら、丸宗からの明確な返事を報告できず、私自身も当初はモヤモヤしていました。

橋本氏:実は10年くらい前に一度、別のコンサルタント会社経由でM&Aを進めようとした時期があったんです。M&Aに初めて取り組む当社メンバーの不安定な気持ちの中、分業制で毎回担当の変わるそのコンサルタント会社の対応に私たちは不信感を抱いていました。それが、名南M&Aのアドバイザーはそのイメージとは真逆でした。M&Aを一気通貫で見てくれるため、一連の流れもすべて把握して対応してくれる姿が信頼できました。当社の要望に対し、リスクも丁寧に説明してくれ、誠心誠意、私たちに寄り添ってくれるので、安心して任せることができました。

お互いの信念を尊重し、
信頼することで道が拓けていく

印象に残っているエピソードはありますか。

アドバイザー:条件面提示の段階でのエピソードです。一般的に落とし所を想定して譲渡希望金額を提示する手法がとられるところ、E・S側から遠慮がちな金額での申し出がありました。私は「遠慮せず適正価格で正直にいきましょう」とお伝えして丸宗さんに金額提示したところ、丸宗の鬼頭社長が「適正価格だと思います。それでいきましょう」と即答くださったことです。そこで「今後諸々の費用がかかりますから、条件調整をします」と申し上げたところ、「そんな失礼なことはしなくていい」と鬼頭社長がおっしゃったんです。一方で、E・S側も、修理等で見込んでいた概算金額をしっかり精査して、最終局面では少しお返しできるよう調整させていただきました。お互いが良心を持ち寄り歩み寄った、という感覚でした。

伊藤氏:交渉の過程でE・S創業者の勝野さんのお話がよく出てきたのですが、初めてお会いしたとき、私は「イメージ通りだな」と思いました。経営者としてのブレない信念をお持ちで、起業時の想い「(それまで廃棄されていた)建築端材を使って製品にする」という「もったいない精神」に感銘を受けました。丸宗では、端材を使うという発想がない。そもそも端材というのは、「使えるものを選別して→製品用にカットする」という工程が増えるため、効率が良くありません。それを実現しているところが凄い、と思いました。

橋本氏:勝野はそういう人なんです。「もし丸宗さんにM&Aを断られたら会社を畳もう、解散しよう」、勝野とそんな話もしていました。

M&A成功のコツは、
対等な精神で未来をみつめること

想いも技術も承継する一方で、丸宗としては自社の事業との棲み分けと業績拡大が叶う、双方にとってメリットのある着地となりましたね。

伊藤氏: 建築資材のプレカット屋さんに端材を分けていただく、という仕入先の開拓から技術の切磋琢磨、と今日まで大変な苦労と努力があったと思います。それを積み重ねての現在のE・Sですから、取引先との信頼関係も厚い。端材とはいえ建築資材ですから、E・Sの製品はグレードが高いんです。M&Aにより私がE・Sの社長に就任し、同じく丸宗から営業の川﨑も来て、引き継ぎが完了したところですので、結果を出すために今後業績拡大をしていきたい、というのが今の私たちの課題です。

橋本氏:伊藤社長と営業の川﨑さんが来て、社内の雰囲気が一気に明るく活気づきました。お二人のおかげで、丸宗から資材を融通してもらい小ロット・短納期の仕事にも対応できるようになりましたし、こちらの手が空いているときは丸宗の仕事を手伝ったりして業務の平準化もはかれるようになりました。

伊藤氏:丸宗からE・Sに増資をして、資本金は1000万円から8000万円になりました。

橋本氏:これまで運転資金かつかつで投資に回す余裕がなかったので、今回の増資を機に、HPの開設や隣接地の取得、社員のために改修が必要な設備の充実を図ることもできて、すべてが好転したんですよ。

最後に、M&Aをご検討中の方にアドバイスをお願いします。

伊藤氏:大事なのは「お互いに尊重する気持ち」だと思います。買う側、売る側、フラットな目線、対等な精神で前を向くことが成功のコツなんじゃないかな。

橋本氏:伊藤社長はまさにそれを体現されていますし、私たちはいま本当に‘幸せ’なんです。心から良かった、と安堵しています。また、何より契約完了後もこうやってお話したいと思える名南M&Aのアドバイザーとの出会いに感謝です。

伊藤氏:企業というのは、永続性が一番の目的ですから、収益の安定性はもちろん、E・Sが創業から積み上げてきた信頼に応える組織運営をしていきたいと考えています。

「E・Sの社屋をいずれ改築したいと思っているし、橋本さんにはそれを見届けて欲しい」と語る伊藤社長の温かい眼差しが印象的なインタビューでした。M&Aで新たな息吹が吹き込まれた現場は、笑顔に包まれていました。

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