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M&A支援

同業種でのM&A

ものづくりの技術を未来につなぐ

高度な専門性が求められる分野の技術を後世に残していくため、M&Aという選択をした市川工研の市川社長。そのバトンを受け継いだのは、市川工研のものづくりのノウハウ・技術力をリスペクトする中村機工の中村社長と、その思いに共感した大豊産業の乾社長でした。M&Aの成約式当日にお伺いし、両者にお話を聞かせていただきました。

ものづくりのノウハウ・技術力を絶やしてはならないという思いが両社で合致

M&Aに至った経緯を教えてください。

市川社長:当社は、自動車産業、電機機器産業向けの自動塗装処理装置の設計製作やガラス・金属粒子による表面処理を行う会社です。自動車のヘッドランプ・テールランプ等のプラスチック部品を製造する過程での、塗装後の乾燥技術・熱技術を認めていただき、静岡県内に複数の工場を持つ大手自動車部品メーカーと長きに亘って取引させていただいております。

今年、1948年の創業から77年を迎え、この先の会社の成長や従業員の雇用維持を考え、事業承継について考えて出しました。当初は、親族に絞り後継者候補を探していたのですが、高度な専門性が求められる分野であることから、親族に限らず第三者への承継も選択肢に入れることを決意し、メインバンクである静清信用金庫へ相談したところ、名南M&Aを紹介いただき、M&Aに向けての準備を始めました。名南M&Aとのやり取りの中で、譲受候補先として、中村機工、大豊産業をご紹介いただき、今回のM&Aに至りました。

共同で譲り受けていただく中村機工、大豊産業はともに社長が40代と未来感が満載です。自社とは感覚の違う両社に共同で譲り受けていただき大変満足しています。

譲り受けた中村機工さんはいかがですか。

中村社長:はい。今回のM&Aで、願い続けていれば、願いは必ず叶うものだと感じました。

当社も同じ大手自動車部品メーカーと取引をしていましたが、市川工研の提供する製品品質には絶対的な信頼を置かれており、今まで当社は、市川工研の扱う乾燥技術・熱技術の周辺設備のみの扱いで、一切、市川工研の領域に入ることは出来ませんでした。その領域も含めて一貫して提供できるようになって、当社も、市川工研のように、大手企業から絶対的な信頼の置かれる企業になりたいと願っていました。

昨年2024年12月に、名南M&Aより、M&Aの候補先として市川工研を紹介していただき、その願いが叶うかもしれないと思い、譲受候補として手を挙げました。ただ、当社が選んでいただけるか、認めてもらえるのかもわからない、不安な状態が続きましたが、この半年間やり取りをさせていただいて、今、市川社長には、正面から受け入れていただけたと感じました。

私は、M&Aをした、という尖った気持ちではなく、市川工研を継いだという気持ちでいます。市川社長にも、企業と企業のM&Aではなく、息子に継いだ感覚でいてほしいです。

これからの市川工研を成長させていくために、市川社長には、譲渡した後も第二の父親としてどんどん意見を出していただきたいです。

M&Aを進めていく中で、ご支援をした名南M&Aの対応はいかがでしたか。

中村社長:主体性と配慮を兼ね備えた対応をしてくれましたね。
私たちが業務で忙しい中、待ちの姿勢でただ私たちに判断を任せるのではなく、的確なタイミングで、ガイドラインをひいたうえで、選択をもってきてくれる。成約に向けて導いてくれる方でした。

市川社長:そうですね、フットワークが軽く、常に先を見越して段取りしてくれたので安心して任せられました。
語彙力も高かったですね。言葉を選んで、丁寧に説明してくれました。

2社の強みを補完する共同譲受という選択肢

今回は、中村機工と大豊産業の2社で共同譲受をされたんですね。

中村社長:はい。大豊産業の乾社長とは、4年程前、共通の知人を通して知り合いました。
企業規模は違えど、ともに3代目社長で、時代に合わせ自社を変えていかないといけない、自社事業もアップデートしていかなければならないという共通の課題をもっており、以前より2社で連携して新規事業開発等を取り組みたいと話してはいました。名南M&Aより市川工研の譲受けの相談が来た時、まさしく今がその時だと感じ乾社長に私から声を掛けました。

乾社長:そうですね。中村社長とは、連携して一緒になにかやりたいと話していましたが、やっと今スタートラインに立てました。
当社は、もともとは電気機材卸売業でしたが、現在はエンジニアリングも行っていますので、人材面、エンジニアリングなどで支援できるかと考えています。当社は自社事業である電気機材卸売業を中心にM&A等で業容拡大をおこなっており、今回で10社目のM&Aになりますが、市川工研の取り扱う自動車産業分野や“熱”“という特殊な領域は、当社にとって今までにない領域のため当社の事業領域拡大として有用だと判断しました。
共同での譲受も今回初めてです。初めての挑戦を私も従業員も楽しみにしています。

2社共同譲受をしてどのようなシナジーがあると考えられていますか。

中村社長:先ほどもお話した通り、当社と、市川工研は主要な取引先が同じです。
市川工研は、エアコンや自動車部品のプラスチック部品を製造する過程での、塗装後の乾燥技術・熱技術が大変優れています。中村機工と大豊産業は、その乾燥技術・熱技術周辺事業の自動化・アフターフォロー・サポート等を得意としているため、M&Aを行うことで、その領域を一貫して、共通の取引先に提供できると判断しました。

当社だけでは叶えられないことも共同で譲り受けることで叶います。大豊産業は、人材面、エンジニアリングなど、中村機工の足りない部分を補完してくれる存在です。
経営資源の豊富な大豊産業との共同事業とすることで、市川工研の事業の継続、そして従業員の雇用安定を確実なものにできると思いました。また、3社ともに国内だけはなく、海外にも展開しているため、設備、人材を国内外で補完しあえる関係です。

市川工研の技術力に、当社の開発力、大豊産業のエンジニアリング力を掛け合わせることで、共通の取引先に留まらず、グローバルに取引先も拡大できると考えております。海外企業の取引先を拡大し、5年後、売上げの2倍増を目指したいと考えています。日本の熱技術は世界に通用するものです。今ある技術を、世界のマーケットにあわせたものにつくりかえ提供しもっと世界に広げていきたいです。

譲受けられた2社への期待を教えてください。

市川社長:開発部門の強化に期待しています。
当社の事業が拡大していくためには、国内産業だけではなく、海外展開が必要です。しかし、海外でも作れるものを売っていても意味がないので、開発部門の研究を強化していかなくてはいけないと考えていました。中村機工、大豊産業の両社の開発力によって、市川工研がさらに成長していけることを期待しています。

また、世界規模で見ると、日本の技術力は過去に比べ落ち込んでいます。静岡にある地域企業とはいえ、アイディアを形にして、日本の技術力向上を牽引したいという思いがありました。そのために当社にとっては、両社が必要です。再スタートしてどんどん挑戦してほしいです。

最後に、M&Aを検討している企業に一言お願いします。

中村社長:一つ目は、自分たちのできないことを明確化することです。
二つ目は、仲間を見つけること。仲間をつくることで、1社では出来なかったことができるようになります。
自社1社だけでは生き残っていけないと感じ、仲間を求めている会社は多いように感じるが、どのように連携していけばいいかわからない方も多いと思うので、仲間を見つけ、会社を成長存続させる方法のひとつとして、今回のようなM&Aがあるということを伝えたいです。

市川社長:技術者からの視点でお話すると、日本の企業は技術立ち遅れています。世界に通用する仕事をするためには、ひとつの会社ではなく、M&Aなどで仲間を見つけて、技術力を高めていく必要があると思います。
自社の技術力向上のために、M&Aという選択肢を検討してみてください。 

乾社長:当社は10社のM&Aを経験しましたが、自社と譲り受けた会社のそれぞれが単体で儲かればいいという考え方でM&Aはしていません。M&Aをすることで、より大きな潜在市場を開拓できる、両社のシナジーで新たな市場がつくれることがM&Aの魅力なので、両社で生み出すシナジーを考えてM&A検討することをお勧めします。

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