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M&A支援

同業種でのM&A

成長戦略としてMAを活用。
大阪の企業が名古屋進出の際に選んだ道とは。

大阪本社の建設会社が名古屋進出の際に採った戦略はM&Aの活用でした。「すでに基盤と実績のある地元企業と手を携えることで、会社の成長スピードを上げるメリットがある反面、課題も見えた」と話す(株)H・I・Kホールディングス代表取締役の赤尾社長。譲受後に‘文化も背景も違う’会社と共存するためのヒントも探りました。

すでに基盤と実績のある地元企業と手を携えて
エリア拡大を叶えていく。

大阪本社の(株)H・I・Kが、名古屋エリアの(有)熊澤工業を譲り受けた理由や背景などをお聞かせいただけますか。

弊社は大阪府で起業し今年で20年を迎える、建物の設計、施工からアフターメンテナンスまでを担う会社です。10年ほど前にクライアントの東京進出に伴い弊社も関東エリアに拠点を設けることになり、その時はゼロから立ち上げました。事務所を新規で借り、既存の取引関係先から材料の仕入先や施工工事店をご紹介いただいたものの、大阪本社からの応援なしで軌道に乗るまでに約7年かかりました。収支面でも、中堅社員数名の東京異動に伴う本社の売上減少、新拠点の赤字補填のため本社の利益を充当する期間が長く続きました。

新たに名古屋エリアに拠点を構えることになった際、その経験から「他に方策はないか」と多拠点展開をされている企業経営者に相談したところ、M&Aというヒントを得ました。M&Aは規模の大きい会社が行うスキームだと考えていたのですが、我々のような小規模、少人数の企業も行えると知り、自社にあった規模感で相談を始めてみることにしました。

今回譲り受けた熊澤工業は今年で創業24年、公共工事が主体で給排水設備工事を専門とする会社です。前社長が高齢で引退を考えた時に後継者不在で第三者承継を検討されて、弊社とのご縁をいただきました。我々は大阪、東京、名古屋にクライアントがいるのですが、名古屋で工事をする際、名古屋の建設業許可が必要になります。また現場での緊急トラブル時に、大阪からの対応ではどうしてもタイムラグが発生してしまいます。それらの課題に対応するため、私たちは「設備工事関連の免許を持った名古屋エリアの企業」の譲受を望んでいました。

名南M&Aのアドバイザーの印象は?

名古屋が本社の名南M&Aとは、「大阪と名古屋」という遠隔地でのやりとりでしたが、ZoomやTeams等のWeb会議ツールもうまく活用しながら積極的に情報交換ができましたので、M&A完了後も認識の齟齬などはありませんでした。名古屋エリアの企業を譲り受けたシナジー効果も徐々に出てきています。名南M&Aの担当アドバイザーは物腰も柔らかく、こちらかの要望にしっかりと耳を傾けてくれて、かつ相手企業との間に入ってコミュニケーションがうまくいくよう丁寧に調整をしてくれたので、とても進めやすかったです。M&A初心者だった私自身にとって、いい勉強になりました。

熊澤工業を紹介いただいてからは、財務面の確認後、条件等を詰めて、株式譲渡契約まで約半年くらいで話が進みました。

3年で単体黒字化。
新規拠点を立ち上げたときの約半分の期間で軌道に。

東京エリア進出時は拠点立ち上げから軌道に乗るまで7年かかった、ということでしたが、M&Aによる名古屋エリア進出は、黒字化までのスピード感はいかがでしたか?

熊澤工業を譲り受けて今年で3年目となりますが、この10月での黒字化が見えていますので、期間としては東京でゼロから拠点を立ち上げた時に比べると約半分の期間で達成できたことになります。

とはいえ、赤字スタートだったんですね。

はい、コロナの時期と重なって公共事業の受託が減るなど、さまざまな要因が重なり見込み通りの滑り出しではなかったのですが、この3年間で少しずつ財務体質を健全化することができました。

譲り受けた後に心がけたことはありますか?

前提として、熊澤工業の前社長には会長として残っていただく方向で話を進めさせてもらいました。熊澤工業にこれまで根付いてきた社風や文化を尊重しつつ共に前へと進みたかったからです。自分が創業した会社ではありませんから、企業文化は違って当たり前ですよね。その点は配慮しつつ、環境整備をしていきました。新たに仲間になった社員や関係スタッフの方々から「待遇が良くなり休みが増えた」「仕事の連携がしやすくなった」という声を聞いたり、社員同士で食事に行った話を聞いたりすると、私も嬉しくなります。

ホールディングス化により、
ワンストップ体制の強化を加速していく。

貴社は昨年、ホールディングス体制へと移行されました。今後の展望についてお聞かせいただけますか。

弊社グループには不動産、設計、建築工事、電気防災設備工事、給排水設備工事の建設関連事業会社があり、設計から施工まで行えるワンストップ体制となりましたが、今後の課題はその体制の強化です。グループで掲げる中長期目標の達成には、さらなるM&Aの取り組みも必要と考え、実は熊澤工業を皮切りに、建設関連会社2社のM&Aを実施しました。最初に名南M&Aと進めた案件での経験のおかげで、落ち着いて案件の話を進めることができたと思います。

慌てず、それぞれの企業文化を理解し、相互の幸せのために楽しんで目標を達成できるよう、次の30年に向けて進んでいきたいと思います。

最後に、M&Aをマーケット拡大のひとつの手法として戦略的に進める赤尾社長から、M&Aをお考えになっている方へメッセージをお願いします。

M&Aは、譲渡側も譲受側も、会社によってそれぞれの魅力やニーズが違います。財務上の数字はもちろん大切ですが、ある会社にとっては不採算事業であったとしても、別の会社にとっては魅力ある事業、ということがあります。まずは私たちのような中小企業でも可能性がある、ということをもっと知ってもらう必要があるのでは、と思いました。「第三者承継」という選択肢を考えずに後継者不在でひっそり廃業してしまう企業があるのはもったいない。

あとは「人」です。人手不足で採用に悩む中小企業も多いと思いますが、会社には「人」が所属しています。M&Aにより会社として一緒になり、仲間を増やす、という発想もありだと思います。

M&Aが中小企業経営者にも身近な選択肢になれば、より市場が活性化すると思います。弊社としては思い切ってM&Aに踏み切ったことで、想定より早くグループ規模の拡大につながりました。ワンストップ体制によってサービスの質が向上し、クライアントに喜んでいただける好循環が生まれていると実感しています。

今回のお話のなかで「譲り受けた会社の企業文化を尊重する」という言葉が心に残りました。中小企業同士のM&Aは、目的に適ったマッチングと相互補完が軸となりますが、そこで働く人々が抱く価値観については、お互いに時間をかけて理解していく、そのバランス感覚も大切だというメッセージをいただきました。

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